日本におけるアクティブ投資信託(アクティブファンド)がインデックス投資信託(インデックスファンド)に勝った割合や事例について、最新のデータと分析してみました。
■ はじめに:アクティブ vs インデックスの構造的違い
投資信託は大きく分けて「インデックス型」と「アクティブ型」に分類されます。
- インデックス型は、日経平均やS&P500などの市場指数に連動するように機械的に運用されるもので、運用コストが低く、長期投資に向いています。
- アクティブ型は、ファンドマネージャーが独自の調査・分析を行い、指数を上回るリターンを目指して運用されるものです。コストは高めですが、成功すれば市場平均を超えるリターンが期待できます。
しかし、理論的には「市場平均を超えるのは難しい」とされており、実際にどれだけのアクティブファンドがインデックスに勝っているのかが重要な論点です。
■ 最新データ:アクティブファンドの勝率
2025年時点の調査によると、**日本のアクティブファンドのうち、10年間の運用成績でインデックスを上回った割合は約33%**と報告されています 。これはアメリカ(13%)やヨーロッパ(21%)と比べて高い水準です。
また、TOPIXをベンチマークとする日本株型投資信託259本のうち、1年・3年・5年のすべての期間でTOPIXを上回ったアクティブファンドは70本、さらに10年間でも勝ち続けたファンドは45本存在しました 。
つまり、**長期でインデックスに勝ち続けるアクティブファンドは全体の約17%**程度にとどまるということになります。
■ なぜ勝てないのか?アクティブファンドの課題
アクティブファンドがインデックスに勝てない主な理由は以下の通りです:
- 高い運用コスト(信託報酬):インデックスファンドが年0.1〜0.2%程度なのに対し、アクティブファンドは1%前後が一般的。
- ファンドマネージャーの腕次第:運用成績は人に依存するため、当たり外れが大きい。
- 資産規模の肥大化:人気が出ると資産が膨らみ、機動力が落ちる。
- 市場環境の変化:好成績でも環境が変われば急落する可能性がある。
これらの要因が複合的に絡み合い、長期的にはインデックスに勝ち続けるのが難しい構造になっています。
■ それでも勝つアクティブファンドの特徴
勝ち続けるアクティブファンドには共通点があります:
- 特定テーマに特化(AI、半導体、高配当など)
- 優秀なファンドマネージャーの存在
- 運用方針が一貫している
- 市場環境に柔軟に対応できる機動性
例えば、「ダイワ金融新時代ファンド」「四季の便り」「初(はじめ)くん」などは、5年・10年の成績でTOPIXを上回っている代表的なアクティブファンドです 。
■ インデックスファンドの優位性
一方で、インデックスファンドは以下の点で優れています:
- コストが圧倒的に安い
- 市場平均に確実に連動する
- 初心者でも扱いやすい
- 長期で安定した右肩上がりの成績
特に「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」や「SBI・S&P500」などは、長期で見ても安定した成績を残しており、個人投資家にとって合理的な選択肢とされています。
■ 結論:勝率は低いが、選べば勝てる
アクティブファンドは「勝率が低い」ことが事実ですが、「勝てるファンドも確かに存在する」こともまた事実です。
- インデックスファンドは“負けにくい”投資法
- アクティブファンドは“勝ちに行く”投資法
投資初心者や長期で放置したい人にはインデックスが最適ですが、特定分野に集中投資したい、信頼できる運用者に任せたいという人にはアクティブも選択肢になります。
ただし、アクティブファンドを選ぶ際は、過去の成績だけでなく、運用方針やマネージャーの実績、コストとのバランスを慎重に見極める必要があります。





